ICLには乱視対応レンズがあり、乱視がある人でも手術を受けることができます。
しかし実は、乱視がある人でも通常レンズを適用した方が良い場合が多々あります。
実際に私も中~強度の乱視持ちでしたが、通常レンズでICL手術を行い、左右とも視力1.5を数年間維持できています。
このページでは「乱視レンズと通常レンズ、どちらを選ぶべきか?」の検討ポイントについて、詳細に解説していきます。
ICLで乱視レンズを検討している方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
この記事でわかること
- 乱視レンズの概要・仕組み
- 乱視レンズのメリット・デメリット
- 乱視レンズと通常レンズどちらを選ぶべきか?
当ブログの管理人
目次
そもそも乱視のメカニズムとは?
ICLの乱視レンズについてお話する前に、乱視のメカニズムについて解説します。
乱視とは:角膜の歪みによって視界がブレて見える現象
目に入ってきた光は、角膜と水晶体を通過して、網膜上で1つの焦点に集まります(図の左)。
このとき、角膜が歪んでいると、光の入る方向によって屈折方向がバラバラになってしまい、焦点が複数できてしまいます(図の右)。
この結果として、モノがブレたり歪んだりして見える、というが乱視のメカニズムです。
※先天的な水晶体の歪みによる乱視も稀にありますが、今回は大半の原因にあたる角膜の歪みについて解説しています。
ICLの乱視レンズの仕組み
ICLの乱視レンズは、この角膜の歪みを打ち消す形状をしており、これによって乱視が改善されます。
歪んだ角膜を通過する際に屈折した光が、乱視レンズを通過する際に元に戻ることで、光の屈折方向が矯正される、という仕組みです。
原理としては、乱視用メガネや乱視用コンタクトレンズと全く同じです。
ICLの乱視レンズのメリット・デメリット
乱視レンズのメリット・デメリットは以下の2つです。
メリット:
・乱視が解消する
デメリット:
・費用がかかる(通常レンズ+10万円程度)
・レンズが回転するリスクがある
デメリットの費用については記載の通りなので、「レンズが回転するリスク」について解説します。
ICLレンズを埋め込む後房空間の形状には個人差があり、空間が楕円状の人もいれば、真円状の人もいます。
後房空間が真円状の場合、目の中でレンズが回転する可能性が出てきます。
後房空間が真円状だと回転する可能性あり
このように、後房空間が真円状の人だと、レンズが回転してしまいます。
通常レンズなら回転しても全く問題ありません(コンタクトが目の中で回転しても問題ないのと同じです)。
しかし、乱視レンズは「角膜の歪みを矯正する」レンズのため向きが重要で、回転すると歪みを矯正できなります。
もしろ、おかしな方向に歪みが矯正されて、乱視がより悪化してしまいます。
このような理由から、後房空間が真円状の人は乱視用レンズを適用できない、というデメリットがあるのです。
補足:実は通常レンズでも乱視が解消する
実は通常レンズの場合でも、手術の過程である程度の乱視であれば解消されます。
具体的には、ICLレンズの挿入箇所が自然治癒する過程で、本来の正しい形に戻ろうとする修復作用が働き、角膜の歪みが治ることで、乱視が解消されるのです。
私の場合、右目に強度の乱視、左目にも中程度の乱視がありましたが、通常レンズによる手術で、両目とも乱視が解消されました。
乱視レンズ・通常レンズどちらを選ぶべきか?の検討ポイント
検討ポイントは以下の通りです。
- 後房空間が真円状の人
→通常レンズを採用せざるを得ないが、手術の修復作用である程度の乱視は解消する - 後房空間が楕円状の人
→乱視レンズを適用できる - 後房空間が楕円状 かつ 乱視が強すぎない人
→手術の修復作用で解消が見込めるので、通常レンズで費用を抑える選択もあり。
上記の1に当てはまる、私のケースをご紹介します。
- 右目に強程度・左目に中程度の乱視
- 後房空間が真円状に近い
- 通常レンズの手術でもし乱視が解消されなかったとしても、視力1.2は出る見込み
適応検査の結果、後房空間が真円に近い形状のため、乱視レンズを適用できるかは微妙という診断でした。
右目の強乱視がやや気になりましたが、「まあ最悪、右目1.2・左目1.5でも十分か」と割り切って、通常レンズを選択。
結果、左右ともに乱視が解消されました。
乱視レンズの検討ポイントは「後房空間の形状」と「乱視の程度」
まとめると、乱視レンズと通常レンズどちらにすべきかは「後房空間の形状」と「乱視の程度」次第です。
今回解説した内容は、必ずしも全てのクリニックで説明されるわけでは無いようなので、この記事で皆さま自身に知識を持っていただけたなら幸いです。
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※ICL手術を受ける前に、必ず適応検査の受診が必要です。
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